地球沸騰化の時代
人文・法・経済科学部同窓会
会長 高木 裕(S48年・人文卒)
昨年7月には、おかげさまで、本同窓会設立70周年記念総会を無事に開催することができました。会員の皆様、同窓会への常日頃のご支援ありがとうございます。あらためまして御礼申し上げます。
この記念総会の時点で、すでに例年にない猛暑の日々が続いていました。昨年の流行語大賞候補に「地球沸騰化」という言葉が入りました。この言葉への注目は国連のグテーレス事務総長が昨年7月に「地球温暖化は終わり、沸騰化の時代が来た」とメッセージを発したことに始まるそうです。「温暖化」であれば、「寒冷化」ではないので、まだ生きてゆけそうなイメージがありますが、「沸騰化」は空気の少ない世界、容赦ない熱風、草原の砂漠化現象を喚起し、死に直面する話です。
記念総会において、牛木新潟大学長は新潟大学の「将来ビジョン2030」にふれていました。このビジョンは、SDGs(持続可能な開発目標)の達成期限でもある2030年という直近の未来に向かって掲げたもので、新潟大学の使命を「未来のライフ・イノベーションのフロントランナーとなる」ことと定めています。さらに「ライフ・イノベーション」は「単に医療・健康・福祉分野に留まらず」、生命、社会、環境の土台となる「地球」や「自然」についての「新たな価値と意味を生み出す革新」と定義されています。地球沸騰化の時代、「地球」や「自然」というスケールで、目の前の問題に対応するライフ・イノベーションはますます求められることでしょう。新大にはぜひともそのフロントランナーとして先陣を切って挑戦続けていただきたいと思います。化石燃料の依存と自然破壊の進行が未曾有の気候変動を生み、「地球環境」を蝕み続けている現在、未来のライフ・イノベーションの構築は焦眉の急であろうと思います。
さて、2020年春、人文学部、法学部、経済学部は改組し、経済学部は経済科学部と改称しました。今回、この改組後、初めての卒業生を送り出す時が来ました。ご卒業のみなさん、このたびはご卒業おめでとうございます。人文・法・経済科学部同窓会を代表して、心からお慶び申し上げます。皆さんはこれから大きな航海に旅立ちます。航海は必ずしも順風満帆とはゆかないでしょうが、大学で修得した学問は人生を育む糧として生き続けるでしょう。新潟大学の卒業生ということに誇りを持って、自分の可能性を信じ、人生を切り開いていってください。
また、この春、ご入学のみなさん、ご入学おめでとうございます。同窓会へのご入会ありがとうございます。同窓会では在学生のみなさんに対するさまざまな支援(独自の奨学金制度、懸賞論文の募集、大学祭や卒業祝賀会補助、図書購入費など)を行っています。これからの4年間、充実した学生生活を送られることを願っています。そのために、私たち同窓会もできる限りの支援をするつもりです。新入生のみなさんは、ぜひ、「未来のフロントランナー」を目指してください。